それは、商談のために訪れたとある町での出来事。
商談先に向かう道すがら、築何十年と経過したであろう情緒ある建物が目に留まった。
入口のガラス戸には「茶」の文字。
気になる気持ちはありながら、商談に遅れてはならないと、足早に店の前を通り過ぎた。

その後無事に商談を終え、往きと同じ道を通って駅に向かう途中、
再び、その店の前を通り過ぎようとする。
けれど、何かに惹きつけられれて、何故だかそのまま通り過ぎることができず、入口の引き戸に手をかけた。

中に入ると、店に併設された工房で革靴を製作中の店主が笑顔で迎え入れてくれた。
話を聞くと、お茶屋さんだった建物をリノベーションして、夫婦で革靴とアクセサリーの店を営んでいるという。
店頭に並んでいたのは、1つ1つ丁寧に、愛情と情熱をこめて作られた作品の数々。
ご夫婦が手掛けた作品の背後にあるものは、お二人の家族愛と、作品を手に取るお客さまを想う気持ち。

機械による大量生産が主流となり、均一性や安さばかりが追及されがちな現代だからこそ、
このご夫婦の作品のように、作り手の愛情を感じられる、やさしさに溢れるものづくりの魅力を多くの人に伝えたい。
真面目でひたむきにものづくりを行う人たちの想いを紹介することで、その愛情の輪を広げたい。

そんな純粋な願いから生まれたのが、「匠の創庫」コーナー。

一人でも多くの方が、匠の作品を手に取ることで、笑顔になって、
私たちの想いに共感してもらえたら嬉しく思います。

～「匠の創庫」事務局より～